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和額と作品について
弊社で最も製造本数の多い『和額』について、もう少し具体的にご説明させていただきます。
まず、前記図表に分類した和額のそれぞれの作品と額縁についてもう少し説明いたします。
@ 日本画/日本画額〜
・ 日本画は、岩絵の具で描かれる日本古来からの代表的な絵画です。
・ 特に戦後、日本画の作風が変化するにつれて、それまで中心だった掛け軸仕立て・
屏風仕立てから額装が主流になり、日本画額はその形式が明確になりました。
・ また、アルミ額・ステンレス額や樹脂材など新しい素材を利用した額縁も開発され、
それまでの大和(やまと)額縁(和額)から「日本画額」へと発展しました。
・ 作品は、絹本(絹の布地)や麻紙などの和紙に描かれることが多い。
A 書 道/書道額 〜
・ 書道も近代になり、その芸術性を主張した作家の活躍により、いろいろな流派や作風が
発展し、それと共に展覧会への出展も活発になり、書道専用額のスタイルも多様化して
今日に至っています。
・ 書作品が本格的に額装されたのも近年のことで、それまでは日本画と同様に掛け軸・ランマ
額・衝立・屏風などに表装されるのが主流でした。
・ 以前より、横長の作品を屏風/襖の工法を応用した和室の欄間(らんま)に掛ける「扁額
(へんがく)」〜欄間額が一般的でした。
・ また、展覧会などの作品が大型化されるにつれ、日本画とは少し違う流れで、新しい素材
(アルミ・ステンレス)の商品も広く活用され、額装のバリエーションも増えてきました。
・ 特に最近では、伝統的な「和」の額装と、住宅様式の変化などにより現代感覚を自由に取り
入れた「洋」の額装が共存しています。
・ 作品は主に画仙紙と呼ばれる和紙やそれに染色や金粉などを施した加工紙(料紙)に書かれ
ます。
作品の性質上、寸法が多種多様になります。
B 水墨画/水墨画額〜
・日本古来からある「墨」で描く伝統的な絵画の技法です。
・主に、中国の二大流派で、わが国の水墨画にも大きな影響を与えた、
「南画」〜軟らかい描線を用い、主観的写実による山水画を特徴とする。〜池大雅・与謝野蕪村
など と、「北画」〜鋭い輪郭線で山や崖を描いた厳しい自然の一角を描いた山水画を特徴
とする。 〜雪舟から狩野派などが有名である。
・また、山水画に限らず、昔から自然の花や鳥など様々なものが描かれている。
近年、従来の『線』で描く画風から発展して、墨の濃淡・ぼかし・にじみを利用して「色を
描かず、見る人に色を伝える」主旨のモノトーンの写実的な画風も増えている。
・元々、表装については、屏風・襖・衝立・掛け軸などに仕立てられることが多く、水墨画額
という形式は特に分類されておらず、現在の日本画額・書道額 の形式をベースにした額装
が多い。
・作品は絹本(絹の布地)や二層紙と呼ばれる和紙を重ねて貼った厚手の紙に描かれることが
多い。
C 色 紙/色紙額〜
・元々、色紙は和歌・俳句・絵画・書などを書いて飾る厚い紙を総称します。
・近年は、書絵画に限らず、その他の作品(押し絵・ちぎり絵など)・寄せ書きや有名人の
サインなど多目的に利用されています。
・和額の中で最も一般的に普及しているのが色紙額だと言えます。
・額についても、色紙専用額は最も種類も多く、その用途に応じて、大量生産の低価格品
から、仕上げにこだわった高級品まで、幅広い価格や仕上げの物が流通しています。
D 短 冊/短冊額〜
・短冊は、古くは主に歌を詠んで手紙とした細長い加工紙(料紙)を呼びます。
・ 大きさは並巾(36.4×6.1cm)と広巾(36.4×7.6cm)の2種類があります。
それらを入れる細長い額を短冊額と呼びます。和額の形態をしたものから、杉などの板や
掛け軸の形態をしたものに短冊を差し込む「短冊掛け」と呼ばれる物もあります。
E 欄間額〜
・ 扁額(へんがく)とも呼ばれ、室内、門戸に掲げる横長の額から、天井と鴨居又は長押
(なげし)との間にある欄間の部分に掲げる横長の額を呼ぶ。
・元は、屏風/襖仕立ての応用で額装したものを利用した。
・主に、書作品や水墨画などを飾ることが多い。
F 版画額〜
・ 洋額のデッサン額・版画額と特に区別はないが、ここでは日本的なデザインを持ち、
主に浮世絵など日本の伝統的な手法の木版画に用いられる額を呼ぶ。
・書道額の形式に近い和額を利用することが多い。
このように、「和額」という項目に分類される額縁を大きく分けてもこれだけの種類が
あります。
但し、私たちが額縁をお客様に販売する時、その基本となるスタイルは、大別して
『日本画額』『書道額』の二つになります。
ほとんどの日本の伝統的な作品につきましてはどちらかの寸法・仕様の範囲で対応できると
思いますので、それぞれの特徴を十分理解してご購入の際の参考にしてください。